縫い、継ぎ、繰り返し生まれるかたち

2014年、十和田市現代美術館で開催された展覧会
「田中忠三郎が伝える精神 ― 東北の民俗衣コレクションと現代美術 ―」に出品した映像作品。

展覧会では、田中が収集した民具や衣服とともに、「縫う」「刺す」「繋ぐ」といった行為を通じて素材と向き合う現代美術作家たちの作品が同じ空間に展示された。
過去と現在、用の美と自由な創造、それぞれの表現が交差する場が生まれていた。

本映像では、田中忠三郎のコレクションに宿る精神性に、現代のまなざしを重ねながら、
「人がものに手を加えるとはどういうことか」
「使い、直し、また使うという繰り返しの先に、どんな世界が立ち上がるのか」
といった問いを軸に、暮らしの中に積み重ねられてきた“手の痕跡”を静かにたどっている。

繕い、継ぎ、刺すという小さな行為が、時を超えて受け継がれるとき、そこには単なる実用を超えた、生き方の選択や自然との関係が映し出される。
それは同時に、いま私たちが置かれている時代――安価で使い捨てられるものが溢れる社会――において、何を残し、どうつくり、どう生きるのかを問い直す手がかりにもなる。

映像としても、派手な演出や説明を排し、素材や手ざわり、間合いに重心を置いた構成とした。
静けさのなかに宿る行為と時間。その積層を、映像というかたちで記録している。